「琉球ガラスのパイオニアであり続ける」匠工房の松田代表インタビュー

沖縄県外の観光客はもちろん、ウワサを聞きつけた海外のお客様もいらっしゃる「匠工房」。

代表である松田社長に、琉球ガラスについての熱い思いをうかがいました。

【本記事でわかること】

  • 匠工房の特徴
  • オリジナル商品の特徴
  • 琉球ガラスを使ってほしい理由
  • 匠工房の思い

琉球ガラスや工房での体験をよりよいものにするため、ぜひご覧ください。

匠工房の強みは「琉球ガラスのパイオニア」でいること

ーーそもそも琉球ガラスって、工房によって何か違いがあるものでしょうか?

もちろんありますよ。

琉球ガラスを作る職人の技術はもちろん、ガラスを作るための設備がどれだけ充実しているか、どんな素材を使っているかは工房ごとに違います。

設備や素材、技術があるか、それらを使うか使わないか、そうした違いがあるから工房によって作れる色や気泡の技術が変わってくるんです。

ーー県内にガラス工房は多数ありますが、匠工房さんの強みはなんでしょう?

うちはパイオニアですよ。

ほかの工房さんが使わないような色や技術を使うようにしています。変な話、今おみやげ屋さんに並んでいる琉球ガラスの色合いはほとんどうちの後追いです。

たとえば「さざ波シリーズ」のように、グラス上部が透明で下部に色がついているデザインはうちが最初に作りましたね。

「さざ波シリーズ」誕生秘話

さざ波シリーズはお客様の声をヒントに作りました。

グラスには飲み物を入れるでしょう? そのときグラス全体に色がついていると飲み物の色が見えないと。そこで透明の部分を作って飲み物が見えるようにしたんです。

さざ波シリーズの商品一覧はこちら

それから5年ほどで那覇の市場はズラーっと全部同じような色合いに入れ替わりました。

おみやげ屋さんの琉球ガラスが似たデザインばかりになったときには、逆に上部に色をつけて下部を透明にしたデザインを作るなど、常にパイオニアであることは意識してきました。

新デザイン「おんなブルー」に込めた思い

最新作の「おんなブルー」は、グラス上部も下部もぜんぶ色をつけました。

広い海のなかでもリーフより手前、泳げる場所を意識した色合いです。ほら、恩納村って泳ぎに来る人がいっぱいいるでしょ? それをリアルに色にしていこうかなと。

おんなブルーのご予約はこちら

緑と水色、ブルーの3色をメインに使っているほか裏地に泡の白を入れています。少し不透明な白を入れているので実は4色使っているんです。パッと見ではわからないと思いますけれどね。

専門的な話をすると、これは被せガラス(きせがらす)と呼ばれる技法です。有名なものだと切子は被せガラスで色を被せたあと削ることで透明の部分と色味のある部分を分けています。

匠工房では色ではなくフリット(泡)を被せておんなブルーの色味を出したというわけです。

ものづくりの最前線は「手作り」そこにこだわる、あえてやる

ーーパイオニアとして最新の色合いを作っても、マネされてしまうんですね……。

真似事から始まるのはものづくりの基本的なルールですからね。ネーミングだけは商標をとるけれど、技法的な部分はどうしようもないです。

意匠なんかをとってしまうとキッチリ同じものを作らなければいけなくなって、逆に自分の首を絞めることになってしまう。それだと法に縛られているような気がして面白くない。

僕はね、手作りって一番先端にいると思っているんです。

どんなものも手作りで作ってから機械での生産に移っていく、これは戦略的なことかもしれない。ただ僕は手作りで止めたい、最先端にいたい。

ガラスの最大の特徴は「今日作って明日使える」ということ、手に取って使えるんです。デザインもその日に見て翌日に改善できる。改善するかしないかは工房の資質、あえてうちはやる。

「作った方がいいな」とひらめいた時は、仕事の手を止めてでもやりますよ。この感覚は説明できないんですけれどね、それでだいぶ変わったと思っています。設備も充実させてきました。

琉球ガラスのグラスを使う理由、使ってほしい理由

職人としては作ったグラスは使ってほしい。飾るのではなく、使ってほしいんです。

たとえば同じ水を飲むとしても、100均で買ったグラスより琉球ガラスのグラスの方がおいしいでしょう? 気持ちの問題かもしれないけれど、気持ちって大事だよね。

僕は、気持ちがポジティブになればできないこともできるようになると思うんです。思考が前向きになるから。

物事はやるかやらないかだけだけれど、失敗してその時に前に進むのか、逆にやらないのかっていうのもひとつの選択ですよね。とにかく、やるかやらないか。

僕はやり続けたい、ネガティブには考えたくない。

だから琉球ガラスのグラスを使うし、職人としてやっぱり使ってほしいですね。

琉球ガラスのパイオニアで居続ける。完結はしない。

お客様の中には「この色合いが欲しかった」といってご来店くださる方もいます。うち以外には出せない色がありますからね。

うちの特徴を知らずにご来店されたお客様も、色のバリエーションが多いことをとても喜んでくださります。

今後はより多くの方に知ってもらえるよう頑張って「やっぱり琉球ガラスなら匠工房ですよね」という存在になりたいなと思っています。

まだ遠いかもしれないけれど、技術や設備を導入していって永遠に続けたいですね。だからやっぱりずっと道半ばなんですよ。完結はしない。常にパイオニアで居続けたいと思っています。

職人を募集中

琉球ガラス匠工房では、職人の募集をしています。
少しでも気になる方はお気軽にお問い合わせください。


取材編集者:小橋川 遥(チキン@ライター)

生まれも育ちも沖縄。現在も沖縄で活動するフリーライター。
「商品やサービスをそれを必要とする人に届ける」をコンセプトに取材や商品紹介などの記事を作成する。